原因が明らかな神経疾患では、それに応じた薬物治療を行うことが出来ます。

例えば、自律神経を侵す病気には以下の病気があります。

パーキンソン病

自律神経ニューロパチー

糖尿病

アミロイドニューロパチー

多発性硬化症

多系統萎縮症…


これらの病気のうち、罹患率の高い病気は糖尿病、
知名度の高い病気はパーキンソン病でしょう。


糖尿病では、神経症状の進行を防ぐため、
生活指導と薬物治療により血糖のコントロールを行います。


血糖降下薬と呼ばれる経口薬や、進行すればインスリンの注射で対応します。

パーキンソン病は、あまりなじみのない病気かもしれませんが、街でもよく見かける疾患です。
動作が緩慢になり、筋肉運動の調節がうまくいかなくなります。


パーキンソン病の一症状として、自律神経症状があります。
病気の原因に対する治療として、ドーパミンという脳内物質の
前駆体を投与するなどの薬物療法が有効です。


上記のように、具体的に原因が分かっていれば、それをターゲットに治療を行います。


自律神経失調症とよばれる疾患は、原因が1つに定まらず、
神経興奮のバランスの乱れを呈する病気であるため治療が困難であります。


主に用いられる治療は、生活指導と薬物治療です。
生活指導では、規則正しい生活を送ることにつきます。


睡眠の乱れは、自律神経の失調をきたします。
また、食事内容の乱れ、食事時間の乱れも、
食事による副交感神経の興奮野バランスを乱します。


まず、一番に行うことは規則正しい生活ということでしょう。


心理的なストレスは、自律神経を興奮させる原因となるため、
日常生活のストレスを軽減することも大切です。


薬物治療では、西洋医学と東洋医学(漢方薬)が併用されることが多いです。
西洋医学からは、症状そのものをターゲットとした
薬物または精神安定を目的とした薬物が処方されます。


起立性低血圧に対しては、交感神経を優位に働かせる薬物が用いられます。

排尿障害に対しては、副交感神経をターゲットとした薬物が用いられます。

排尿が困難な場合は、副交感神経を優位に、頻尿に対しては副交感神経を抑制する薬を用います。

便秘に対しては、多くの作用機序の薬があります。

便に水分を持たせるポリマーのような役割をする薬や、
副交感神経を興奮させる薬、電解質を調節する薬、漢方薬など、
それぞれの便秘の程度にあわせて使い分けます。


いらいらや落ち込みなどの気分変動も自律神経障害できたすため、
そのような症状の改善を見込んで、抗不安薬や精神安定薬と呼ばれる薬、
睡眠導入剤などの薬を用いることも多くあります。


以上のような西洋医学ではピンポイントに絞った病態に対する薬が多く、
原因が1つでない場合に著効しにくいという欠点があります。


ここで東洋医学における漢方薬が力を発揮することがあります。
漢方薬では、陰陽の考えを用い、全身のバランスを整える効果があります。


症状が一気に改善することは期待出来ませんが、
なんとなく調子が上がるといったところで効果を実感していきます。